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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第4章 懐疑的なキス

ああ、思い出したら頬が熱くなってきた。


そう思って両手を頬に当てたとき。


「色葉チャン」



目の前に陰がかかって顔をあげるとそこには知らない男子生徒がいた。



ネクタイの色が違う。緑ってことは、三年生で先輩だ。



先輩ってだけで緊張するのに、キラキラした世界にいそうな陽の雰囲気に、余計に体が固くなる。


「……は、はい」


おそるおそる返した声はちょっと震えちゃった。


「俺、三年の青井浩章(あおい ひろあき)。まぁぶっちゃけいうと一目惚れなんだけど、連絡先教えてほしいんだよね」


その声に、そばの女子たちからざわめきが聞こえた。



『青井先輩が! 色葉ちゃんに告ってる!』

『えぇー! 青井先輩が!?』

『やだぁー! アタシ泣きそう!!』



……これって、この人すごい人気のあるひとなんじゃないの?



そう思えるような風貌をしている。整った顔立ちに、愛嬌のあるひとなつっこい笑顔。

きっとモテるって見てわかる。


「え……と、」


断る言葉がうまく出てこないのは、女子たちの目が気になって仕方ないからかもしれない。



『色葉ちゃんばっかりいいなぁー』


……こういうのは今までに何度も経験した。


女子の妬みや僻みはかいたくないのに。



その後起こりえるいやがらせを直結的に想像して泣きそうになった時だった。



「姫路さん」



少しクールで落ち着いた声に、どくんと心臓が大きく跳ね上がった。


がばっと顔を上げる先には、教室に流れ込む春の風をうける小笠原くん。


はたはたとカッターシャツがゆれて、柔軟剤が香る。


陽ざしの陰影に際立つ綺麗な顔だち。


……やっぱりすごくかっこいい人……。



「オカ先が姫路さんのこと呼んでたよ。『職員室に急いで来て』だって」


「え……。うん、わかった」


オカ先っていうのは岡田先生、担任の呼び名だ。


岡田先生から呼び出し……あたし何かしたっけ。


不安を抱きつつ素行を振り返り始めていたら、小笠原くんの視線がなぜか先輩に移った。


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