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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第7章 初夏とカップケーキ

「……ねぇね! 色葉ちゃん?」


佐原さんは短いみつあみをぴょこんと揺らして、あたしの耳もとに手を添えた。


「……もしかして恋してるの?」

「恋……」


恋?


「好きな人のことばっかり考えてたんじゃない?」

「……好きな人……」

「もう! さっきから繰り返しすぎ!」



バシンと背中を叩かれて、よろけながらもあたしの頭の中を埋め尽くす彼に、目をむけてしまった。


たいして感情を表に出さず、東くんとサラと喋りながら、腕をまくり直している。


細いけどちゃんと筋肉質な男子の腕。



ほとんど笑わないけど、伏目で気だるそうな雰囲気に目が吸い寄せられてしまう。


まるで彼だけがきらきらと輝いているみたい。


姿を見るだけで心臓がドキドキする……。



「……えっ。まさか、うそでしょ!?」



あたしの隣で佐原さんは目を見開いて


「……今、色葉ちゃん、東くんのことみてた!?」


まったく見当違いなことを堂々と言った。



「ちがうよ……! だってミナの彼氏だよ?」


「うーん……でも。友達の彼氏だからこの恋は終わり、みたいな切り替えって難しいから……」


「ちがうよ? 本当にちがうから!」


「恋ってのは、頭でなんとかなるものじゃないし」


何かぶつぶつと言いながら、佐原さんの世界に入っていってしまった。



「……ちがうのに……」


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