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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第7章 初夏とカップケーキ

すると唐突に澄くんが言った。


「色葉って誰かにそのお菓子あげるの?」


「これ? ううん。全然決めてないけど……」


「じゃあ俺のと交換しよ」


そう言って渡してくれたのはポケットから取り出した小さな袋。



「これ生キャラメルなんだけど、食べれる?」


「いいの?」


「そのかわり、そのカップケーキは俺にちょうだい」



手はもうすでに交換を完了しているのに、思考が追い付かなくてぽかんとしていた。


「え……でも甘いの嫌いってさっきクラスの子たちに言ってたよね?」



「えー? 言ったっけ?」


とぼけたような声、いたずらっぽい微笑。


甘いの嫌いも……嘘も方便?




なんであたしのは、食べてくれるの?



「いただきます」



ポリ袋からカップケーキの頭を少し出した澄くんは、白い歯でかじりついた。



意外と大きな一口に、またドキドキさせられる。


「おいしい」



ほんの少し細まる目は優しくて、かっこよくて……甘くて。



心臓がおかしくなりそうだよ……。

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