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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第7章 初夏とカップケーキ

「……おいしくてよかった」


「色葉も食べなよ」


「え……でも。もったいないから」


このキャラメルは家宝としてとっておきたいんだけど……。


「添加物入ってないからすぐ腐るよ。……いらないなら没収ね」



不満げにそういうと、あたしの手からキャラメルを抜き取ってしまった。



「え? それは嫌……! 食べたい……」


あたしは、すぐにそう言ったのに。



紙に張り付いた生キャラメルは、澄くんの上下の歯に挟まれて、口の中に消えてしまった。



「……食べたかったのに」



せっかく澄くんからもらえたのに……。


半分泣きそうになっていると、澄くんの片手があたしの頬を掴んで上を向けた。


そして、言う。


「色葉、口開けて?」


いたずらの色が宿る目で彼はあたしを見下ろして。



「なんで?」といいながら口を少し開けたとき。


にやり、と彼は笑った。



「ーーんん……っ」



ねじこまれるように入れられた甘い塊。



侵入してきた熱い舌があたしの上あごをなぞって、



「ふ……ぁ……」



ふたつの舌が絡まってキャラメルを転がす。



澄くんの舌先はどうしてこんなに艶めかしく動くの。



――ぴちゃ。ちゅぷ。


いやらしい音がふたりきりの廊下に響く。


甘くなった唾液を飲み込むたび舌は離れるけど。


すぐにまた唇はふさがれて、あたしは舌に犯される。


「ん……っ、」



夢中で求め合っているうちに、キャラメルが小さくなり、やがて溶けてなくなった。


「はぁ……っ」


ただ、熱い視線だけが絡み合っている。


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