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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

「じゃあここの問題を1限から寝ている小笠原くん」


また寝て当てられてる……。



ぼんやりと顔を上げて、「え?」と返す澄くんが可愛らしくて、くすくすと教室に女子の笑い声が沸く。



もちろん、その笑いっていうのは馬鹿にしてるんじゃなくて、プラスの意味で。

みんな、思うことは一緒だよね。澄くんは本当に魅力的な人だから。


みんなの視線が澄くんに向かっている中、


「えっとー……大久保利通?」


彼は簡単に正解を返してしまった。


「……ゴホン、正解。ちゃんと授業も聞きなさいよ」


「はい」



眠たそうな目をこすって、ふわあとあくびする彼の横顔。


……かっこいいな。



同じ気持ちで彼を見ている人がこのクラスにどのくらいいるんだろう。



隠しても、否定しても、沸いて出てしまうような恋心。



3列も離れた席の澄くんを視界の端にいれながら、授業を終えた。


一限、長く感じたなぁ……。


教科書とノートをトンと机でそろえて片付けていると、誰かがすぐ横を通り過ぎて行くのが見えて、

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