放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)
第9章 先輩と傷跡
◇
「今日の色葉ごきげんじゃない?」
お昼休みになってまずサラにつっこまれてしまうほど、あたしは浮かれていたのかもしれない。
「そ、そう?」
「うん。気づくと口元がにやけてるもん」
「うそ?」
「ほんと。何かあったんでしょ?」
パンを片手にサラがにやにやとあたしを右から肘でつつき、お弁当をほおばるミナも左から小突く。
「もしかして、青井先輩!?」
とミナは満面のいたずらっこの笑みであたしに問う。
そんなに自信に満ち溢れた表情で言っても、全然検討違いだよ……。
「……ちがうよ!」
「またまたぁ~」
「まぁほら、色葉にとっては初恋なんだから、言いたくなるまでまってるじゃん」
サラがぽんっと肩を叩くと、ミナは「うん……そうだね~」と少し納得できないような声色ではあるけど、あたしの詮索をやめてくれた。
……ほんとは、小笠原澄くんが好きなの。
そうふたりに言えたらいいんだけど……、この恋は普通じゃない。
きっと、二人みたいに両想いから正しく恋を始めた子たちには軽蔑されるに決まってる。
だから、右も左もわからない初恋を、あたしは一人で進めてしまっている。
……それがいつかのあだになるとも、気づかずに。
「今日の色葉ごきげんじゃない?」
お昼休みになってまずサラにつっこまれてしまうほど、あたしは浮かれていたのかもしれない。
「そ、そう?」
「うん。気づくと口元がにやけてるもん」
「うそ?」
「ほんと。何かあったんでしょ?」
パンを片手にサラがにやにやとあたしを右から肘でつつき、お弁当をほおばるミナも左から小突く。
「もしかして、青井先輩!?」
とミナは満面のいたずらっこの笑みであたしに問う。
そんなに自信に満ち溢れた表情で言っても、全然検討違いだよ……。
「……ちがうよ!」
「またまたぁ~」
「まぁほら、色葉にとっては初恋なんだから、言いたくなるまでまってるじゃん」
サラがぽんっと肩を叩くと、ミナは「うん……そうだね~」と少し納得できないような声色ではあるけど、あたしの詮索をやめてくれた。
……ほんとは、小笠原澄くんが好きなの。
そうふたりに言えたらいいんだけど……、この恋は普通じゃない。
きっと、二人みたいに両想いから正しく恋を始めた子たちには軽蔑されるに決まってる。
だから、右も左もわからない初恋を、あたしは一人で進めてしまっている。
……それがいつかのあだになるとも、気づかずに。