
放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)
第9章 先輩と傷跡
「びっくり……した……」
水滴で濡れた頬に手をあてて、目を見開くあたしを見て、先輩はさらにおかしそうに笑う。
まるであたしの心境とは真逆な明るい笑顔だ。
「ひーっ、反応かわいすぎるから! ごめんごめん」
折られた七分丈の袖口でごしごしと頬を拭われて、思わずのけぞる。
「だ、大丈夫です……」
笑い切った先輩は自然とあたしの隣に立って、窓の外を眺め始めた。
吹き込む風に、毛先を遊ばせた黒髪が揺れる。
茶髪とか、澄くんみたいにベージュくらい明るい髪色をしそうなひとなのに。
あ、そっか。受験生だから黒く染めたのかな。
そんなことをなんとなく考えていたら、
「ひとりで何してたの?」と首を傾げる先輩。
「え……と、ぼうっと……」
「ぼーっとしてたの? 色葉ちゃんおもしろ」
笑いながら、「はい、これあげるー」と差し出されたのはコーラ。
「え? いや、飲み物持ってるので……」
遠慮に両手を振ると、
「そんな困った顔しないでよ。受験勉強の息抜きに付き合ってー」
甘えっぽい声であたしの方に頭に倒されて。
――コツ。
額と頭がぶつかり、大人っぽい香水の匂いが風に漂う。
至近距離で視線が絡んでどきっと心臓が跳ねた。
本当に軽い人……!
「……っ、わかりました……! も……近い」
がばっと距離をとると「えー」とブーイングする無邪気な笑み。
この人の明るい雰囲気と笑顔には、かなわない気がして、ペットボトルを受け取ろうとしたら、
「蓋、あけてあげる」
そんなレディファーストまでするんだ……。
「……ありがとうございます」
お礼を言って、口をつけて飲み込んだ。
本当は飲み物なんて持っていなかったし、のどカラカラだったんだ。
水滴で濡れた頬に手をあてて、目を見開くあたしを見て、先輩はさらにおかしそうに笑う。
まるであたしの心境とは真逆な明るい笑顔だ。
「ひーっ、反応かわいすぎるから! ごめんごめん」
折られた七分丈の袖口でごしごしと頬を拭われて、思わずのけぞる。
「だ、大丈夫です……」
笑い切った先輩は自然とあたしの隣に立って、窓の外を眺め始めた。
吹き込む風に、毛先を遊ばせた黒髪が揺れる。
茶髪とか、澄くんみたいにベージュくらい明るい髪色をしそうなひとなのに。
あ、そっか。受験生だから黒く染めたのかな。
そんなことをなんとなく考えていたら、
「ひとりで何してたの?」と首を傾げる先輩。
「え……と、ぼうっと……」
「ぼーっとしてたの? 色葉ちゃんおもしろ」
笑いながら、「はい、これあげるー」と差し出されたのはコーラ。
「え? いや、飲み物持ってるので……」
遠慮に両手を振ると、
「そんな困った顔しないでよ。受験勉強の息抜きに付き合ってー」
甘えっぽい声であたしの方に頭に倒されて。
――コツ。
額と頭がぶつかり、大人っぽい香水の匂いが風に漂う。
至近距離で視線が絡んでどきっと心臓が跳ねた。
本当に軽い人……!
「……っ、わかりました……! も……近い」
がばっと距離をとると「えー」とブーイングする無邪気な笑み。
この人の明るい雰囲気と笑顔には、かなわない気がして、ペットボトルを受け取ろうとしたら、
「蓋、あけてあげる」
そんなレディファーストまでするんだ……。
「……ありがとうございます」
お礼を言って、口をつけて飲み込んだ。
本当は飲み物なんて持っていなかったし、のどカラカラだったんだ。
