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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

コーラってこんなに甘かったっけ。おいしい……。


「炭酸なのにそんな一気に飲めんのすごくね?」


「喉かわいてて……」



うわぁ、はずかしい。行儀悪かったかな。


赤面しながら俯くと、先輩は言う。



「気分転換の校内デートでも付き合って」


語尾に♪でもついていそうなノリだ。



陽キャラと一言で済ませられるようなひとだし、きっと誰にでもこういうノリで接する人なんだと思う。




でもどうして肩をだく必要があるの?



「近いですって……」


そっと体を離した。一応先輩だから失礼の無いように丁重に……。



「だってそのはずかしそーな顔、もっと見たいんだもん」


「だもん、て……」



そんな可愛いことを男子が言っても画になるのは先輩のすごいところだと思う。



「どこに行くんですか?」


「んー、適当に歩こうよ」



人懐っこい笑顔にあたしも小さく笑みを返す。



「……わかりました」



「さんきゅ。ほんとにさー、受験勉強全然うまくいってなくて、凹んでたんだよ。だからありがとう」



にこっと笑われても「あたしは別に、なにも……」



本当にあたしって、男の人とうまく喋れないんだなって、先輩と喋り始めて思う。



何を言っても会話が進むのはひとえに先輩のコミュ力のおかげだもん。



「でさー、勉強してるとポテチ食べたくなるんだよね。でも手ぇ汚れんじゃん。だから箸で食べてたんだけど、なんか口の密度はんぱねーなと思ったらペン二本でポテチ食ってたりねー」



「ふふっ。先輩……しっかりして……っ」



先輩の話にくすくすと肩を震わせているうちに、いつの間にか特別棟にたどり着いていた。

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