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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

「お、色葉ちゃんここって知ってる? 相談室っていうんだけど」


「いえ……知らないです」


「楽しいんだよ、ここ」


にこっと笑って、扉を開いた先輩についていく。

「わぁ……」


薄暗いけれどその分涼しいみたい。


電気をつけてみれば、部屋全体がまっ白の壁と真新しいアイボリーのカーテンに囲まれているせいなのか、清潔感があるように見える。


ゆったりとした3人掛けくらいのソファがテーブルをはさんで置かれているけど、ここって……?



「たまにカウンセラーがくるとこの部屋が使われるんだよ。いつもは、誰もつかわないけど」


「へぇ……そうなんですね」


こんな部屋があったんだ。


テーブルを挟んで先輩とむきあってソファにもたれると、ふかふかとした感触にお尻が沈む。


そして包み込まれるような背もたれ。


「座り心地いいっしょ?」


「……はい」


「うれしそー、色葉ちゃん」


目を細める先輩は、テーブルに頬杖をついていった。



「コーラ飲まないの? 炭酸抜けるよ」



そんなすぐに炭酸なんか抜けないとおもうけどな……。



首を傾げながらも、せっかくいただいたものだから、いただきます、と飲み込む。



やっぱり甘いなぁ。


甘味料が違うのかな?



そう思ってラベルを一回転してみてみるけどあたしの見知ったコーラと見た目は変わらない。



あたしの勘違いかな?


そう思ってもう一度味わって飲んでみる。



……いつもより甘い、ような?


「色葉ちゃん?」


先輩が不思議そうに首を傾げている。



あ、まずい……。



いただいたものなのに、いぶかし気に見つめすぎたかも。

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