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放課後は、ヒミツの待ち合わせ。(R18)

第9章 先輩と傷跡

「で、さっきの話の続きだけど、四月に空き教室で着替えてるとこ、見えちゃったんだよね」


「え?」


「色葉ちゃんの小さいブラに締め付けられて溢れた胸。色白の、やわらかそーな」



「……っ」


「Fカップだって?」


ふっと笑う先輩。


あたしの顔は真っ赤に染まりあがる。


「……や、だ。もう……そんなの言わなくていいです……」



見えたのは仕方ないから、黙っててくれればいいのに……!



恥ずかしくて俯くと、すぐに頬を掴まれて顔をあげさせられた。



「……いたっ」



「あ。ごめん。力はいりすぎちゃった」



頬に触れる指の力を弱めてから、先輩は穏やかな目つきであたしを見た。



一瞬、怖かったけど、大丈夫だ。びっくりした……。



あたしが先輩の方を見上げたら、頬から手を離してもらえた。



あ、そっか。


目見て話しましょうっていう、ニンゲンの基本、みたいな?


そうして欲しかったのかな。



だからあたしは、頑張って目を合わせた。



「それで、あの日から色葉ちゃんの顔も体も目に焼き付いて離れないっつーか。だから関わり欲しくて教室まで行ったんだけど……毎回お兄ちゃんが邪魔するじゃん」



げんなり、といった様子で肩をすくめる先輩。


なんか今、顔と体が忘れられないなんて爆弾発言をされた気がする……。



お兄ちゃんっていうのは、澄くんのことだよね。


「双子の兄がすみません……」



爆弾発言からは、あえて視点をそらして返してみた。
すると返ってきたのは



「ねー。“双子の兄”って大変だね」


双子の兄を強調するほんの少し嫌味っぽい言い方。



もうバレてるよ、とでも言いたげな目があたしに向いていて、どきどきと心臓が鳴り始めて……


そして答え合わせのような言葉が続く。

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