キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第10章 鬼畜変態野郎と溢れる愛
「首輪の意味を忘れるなって言ったぜ。ひどい女だな」
「それならそうとちゃんと説明してよ!」
「説明?今さら何の?おまえは俺のモンだって言っただろ。何のために首輪付けたと思ってんだ」
「そのときからの計画だったの!?」
「いや、結婚は後付けだ。王家の後継者争いが嫌で逃げていたんだが、皇子の立場も使えるもんだな。きちんとした手続きを踏んで、こうしておまえを手に入れることができた」
そんな説明されても、この人の動きがまったく読めない。裏で何をしてたの?何を思ってくれてたの?聞きたいことがいくつもある。私がアホだって知ってるくせに、いつも言葉が足りないんだ、この人は。
「この際だから白状しなさい!いつから私を騙してたのよ!最初から魔王の娘って知っていて、手のひらで転がして遊んでたんでしょう!?SMプレイしたあげく処女まで奪ったくせに!責任を取りたいだけの結婚ならしなくていいわよ!そんなの私からお断りよ!」
鬼畜変態野郎を責める私の声が大広間に響く。そこに両親もいるってわかってるけど、叫ばずにいられなかった。
「早く答えなさいよ!」
いまだに出てくる涙をそのままに、ギッと鬼畜変態野郎をにらみ付けた。相も変わらず無表情だけど、その奥にあるモノが見えた。それは悲しみと戸惑い。初めてみたこの人の新しい表情だった。
涙がピタリと止んだ。その表情にくぎ付けになっていると、ずっと黙ったままのこの人の口が少しだけ動いた。
「あのとき」
今度は少し意を決したような、何かを覚悟した目を宿した。無表情だと思っていたのに、こんなにも表情が変わるのかと、その百面相を見つめながら話を聞いた。