
キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第4章 鬼畜変態野郎と拘束プレイ
どうしたもんかと思いながらフルーツを口に運んでたら、鬼畜変態野郎の方から声を掛けてきた。
「何も聞かねーのか?」
「気になるけど、あんたなりに何か思うことがあるのかなーって」
「そうか」
「でもひどいニュースだね。魔族が野蛮な行為をしてるってウソの情報を流してるよ」
「ウソ?」
「大ウソだよ。大昔の戦争以降、人間界に手を出してないからね。お互いの世界に侵入したらいけません、争いません、っていう約束を王家が守ってるの。王が守れば下も守る。繋がりが強いからね、魔族って」
「そこんところがよく分からんな。おまえらがそれを守ってるのなら、何で物騒な話に発展してるんだ?戦争が始まるって話も出てるだろ」
「人間が約束を守ってくれないの。代々約束が受け継がれるんだけど、その代が変われば、同じく代変わりした勇者の後継者が魔界に現れて、好き勝って暴れ回り、魔王と対決を望んでくるの。手を出すと大昔の約束を違えてしまうからって、魔王は反撃しないでそれを受け入れる。それで死んだ魔王もいるの。もうね、勇者のせいで魔界も王家も大ダメージよ。いい加減プッツンしちゃうぞって話に発展するのも当然なの」
「……聞いてた話と違うな」
「そりゃそうよ。聞いてた通り、ウソの情報しか出回って……」
しまった!一応勇者の仲間設定だった!と失態に気づいても、もう遅い。今の説明じゃ勇者は敵だと言ってるようなもんだ。
チラリと鬼畜変態野郎の様子を伺うと、特に変わった反応もなく、相も変わらず無表情で新聞を読んでいた。どっちつかずの反応が恐ろしいけど、これ以上話しても墓穴を掘りそうだ。しばらく黙っていようと、黙々とご飯を口に運んだ。
しかし勇者のくせに、魔界のことも大昔の約束のことも何も知らないんだ。もしかして受け継がれている約束って、ウソで固められてる?それなら真実を知らないことに納得出来る。
でも何で勇者のご先祖様はウソをついたんだろう。世界の平和が同じ願いだったのに、どうして裏切るようなことをしているんだろう。何で下等生物って言って魔界に攻め込んでくるんだろう。
分からないことだらけの私も勇者と同じかもしれない。でも、とりあえず今は勇者討伐に集中しよう。雑念はすきを生むのだ。
