
キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第4章 鬼畜変態野郎と拘束プレイ
「……あっ、あー、ああー、あー、いー、うー」
固くなっていたあごを動かした。声も上手く出ている。ようやく動けることにため息をはいて、鬼畜変態野郎に言いたかったことを言った。
「そもそも拘束したの自分じゃん。責任をもってあんたがマッサージするのが普通じゃん」
「俺は拘束するなんて言ってねーよ。おまえが手錠を見て拘束プレイするって言ったんだぜ」
「……はっ!?」
「ご期待に応えられたようで何よりだったけどな。噛まれてイク姿はかわいかったぜ、この変態キツネ」
「……うぬぬぬぅ!!」
うなる私を鼻で笑う辺りが腹立つけど、何だかんだでマッサージをしてくれる。優しいのか鬼畜なのか分かんない人だ。変態ではあるけど。
でも、よく分かんないやつで、敵である勇者とアブノーマルなことを……いや、首輪もオモラシも四足歩行も相当か。
ただ今回は、新しい扉をこじ開けられたというか、自覚させられたというか、ここまでハッキリとマゾヒストって示されたら認めるしかないと思う。
この人には【すべて】お見通しで、【すべて】を見られたけど、でも、みっともなくて汚い私を受け止めてくれたから、それはそれで嬉しい……あれれ?嬉しいの?敵なのに?何かよく分かんなくなってきたぞ。
でも、あの時、目が合った瞬間の、【すべて】を見せあった感覚はキライじゃなかった。一方的にそう感じただけかもしれないけど、でも、それでも……うん、やっぱり嬉しかったんだ。
自分を認めて受け止めてくれる人が居るという安心感がひどく心地よかった。きっとそれはこの人も同じだと思う。
「痛くて酷いことをして楽しい?」
「まぁ、それなりに」
「それなりって!」
「醜く歪んだおまえに興奮するし、同じくらい安心する」
「……そう、なの?」
「……なんつって」
「もう!なんなのよ!」
「じゃ、俺は行くぜ」
ベッドに寝転んだまま、部屋の扉まで歩いて行く鬼畜変態野郎の背中を見送る。さっきまでの安心感はどこへやら、何だか物足りなくて、今すぐ埋めてほしい何かがあるんだけど、それが分からない。
さっきは体だったのに、次は心の何かが足りないのだ。
寂しいようなチクチク痛むような、変な気持ちがわああって沸き上がって、いじけるように寝返りを打って、枕に顔を埋めた。
「悪い。忘れ物」
「なーにー?」
