
キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第6章 キツネ様の話し合い
「人間界の王家はどうした。大昔の出来事とはいえ、元は王家直属の依頼だろ。報酬はなかったのか」
「そのときはあったみたいですけど、それ以降の保障はありません。王家はもう関係ないの一点張りです」
「……まっ、そらそうだ。とっくの大昔に戦争は終わったんだ。勇者一族を保障してやる義理もねーな」
「でも、勇者という肩書きは受け継がれるんです」
「立派な肩書きじゃねーか。何が不満なんだよ」
「勇者だからといって、世界中の人が助けを求めてきます。もちろん勇者だから断れません。報酬もなし。たまにご厚意でもらえるお金、それが生活費なんです」
「いや、人を助けてる場合かよ。普通に働けって」
「勇者だからという理由で、どこも雇ってくれません。バイトもダメでした。ご先祖様たちもいろいろと訴えたそうですが、やはり勇者だからという理由で断られていたそうです。受け継がれていく就職難ってやつですね」
「俺が聞いた話と違うな」
「勇者の存在と居住地は、人間界全域に知られます。逃げも隠れも出来ない、仕事もない、金もない、……そこで遠い昔のご先祖様は思い付いたそうです。【魔族が暴れている】というデマの情報を王家に届け、王家直々の魔王討伐の依頼を承る。これで報酬がもらえると。ご先祖様の中には、大昔の約束を守った人もいます。でも、優しさの代償は大きい。その代は生活苦、家族が苦しみ、次の代の勇者は思うわけです。お金には変えられないと。だからまたデマの情報を持ってお金を稼ぐ。ずっとこの繰り返しです」
ユウタから語られる勇者一族のこと。あまりの身勝手な話に、頭の血管がブチンと切れそうだった。
「じゃあ、何、あんたら勇者の生活費のために、魔界は振り回されてんの?被害者だって出てるんだよ。歴代の魔王も死んだことだってある。魔界が怒りと憎しみに染まってる。それでもダメだよって魔王は言ってきたの。何でか分かる?大昔の約束を守るため、平和を望むからこそ、みんなで耐えてきたの。それなのに、何それ、生活費が理由とか笑っちゃう」
これでもかってくらい軽蔑した目でユウタを見た。ユウタも同じく怒りを宿した目で私を見た。
