
キツネ様の日記帳~鬼畜変態野郎と〇〇プレイ~
第6章 キツネ様の話し合い
「苦しゅうないぞ、ユウタ。素直なことはとても良いこと。もっとキツネ様を崇めなさい」
「おい、これただのアホだぜ」
「あんたは黙ってなさい!」
鬼畜変態野郎に一喝。でも「ただのアホなのに」とブツブツうるさいから知らん顔でいることにした。
しかし、どうしたものか。私たちの代は話し合いで平和を築くことが出来るかもしれない。でも根本はそこじゃない。もっと深いところにある。そこを直さない限り、人間界と魔界に平和は訪れない。
大昔の約束は、私たちが死んだあとも続くんだ。奇跡的に話し合える世代になったんだから、過去の過ちを二度と繰り返さないために、今一度約束を見直さなければ。
勇者一族が望むもの、それは【勇者】という名に見合うお金。安定した収入を得られない限り、いつか憎しみは復活する。
「仕事があればいいの?」
「それも失敗してるんです。何代か前のご先祖様が魔界から仕事をもらってたけど、人間界にバレて村八分にされたそうです。次の勇者様が憎しみを抱いて魔王討伐に向かったと。すぐバレるんですよね、勇者の動向って」
「勇者だもんね。人間界すべての人間が監視カメラと盗聴器みたいなもんか。どうしたもんかな」
「僕も話し合いで済むのならそれが一番だと思ってます。でも、勇者のデマで染み付いた魔族への差別と、勇者のせいで膨らんだ人間界への憎しみ、それを今さら一つにしてスカッと終わらせる方法なんてあるのでしょうか?」
ユウタの言わんことは分かる。私もその方法を必死に探してるけど、まったく見つからない。むしろ考えることを諦めて、今日の夜ご飯のことを考えてる。
「……すみません、うちのご先祖様が……」
ユウタの謝罪に、まったくだとうなずいた。何度もペコペコと頭を下げだしたから、やっぱりこいつ勇者に向いてないなと思った。
「あっ!いいことを思い付いた!」
ずっと黙ってたお兄さんが手を上げた。
「大昔から続いてる憎き因縁でも、キミたちの代で、こうやって冷静に話し合える仲になったわけじゃん?そんで男と女!もうさ、勇者と魔族、二度と争わないように結婚しちゃえばよくない?ほら、キミたち仲良しだし!これもご先祖様からのメッセージなのかもね!」
