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二度目の夏

第1章 秘密は橋の下で

「なあ、かーくん。聞いてるか?」
「ああっ?んだよ?」
カケルは僕の呼び掛けにイヤホンを外してめんどくさそうに返事をした。

僕らは橋の下の日陰になった河原に座っていた。
夏の強い日差しが、光と影のコントラストをくっきりさせている。
僕らのいるこっち側と、あっち側を線引きしているみたいだった。
僕らは学校帰りにいつもの駄菓子屋によって、アイスを買って、さきほど橋の下に潜り込んだのだ。
橋の下は、地下のようにひんやりしている。
日中、ずっと日陰で、流れる川が冷気をもたらしてくれるからだろう。
地上のとろけるような熱気から避難して、僕らはここでしばらく過ごすのが日課になっていた。
ここは、僕とかーくんの小さな頃からの隠れ家だった。



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