テキストサイズ

二度目の夏

第1章 秘密は橋の下で

「かーくんさ、あのさ、えっと」
「だから、なんだよ」
僕が上手く言葉にできないときがあることをカケルは長い付き合いで知っていた。
だから、ぶっきらぼうな物言いをしながらも、僕が話すのを待っていてくれる。

カケルは銀色の包装を解いた棒アイスを舐めた。
ホームランバーだ。
僕らはだいたいいつもこれを買っていた。
カケルが少し溶け出したバニラアイスの角をかじる。
僕はカケルの様子を見ながら頭の中で言葉を選んでいた。
でも、いつもどうしたらよいのかわからなくなって、言葉を口にするのを諦めてしまうことが多かった。

ーでも、今日は…。

ゴボン…と時折、川から音がする。
同じように水は流れているはずなのに、時々、何かしらの歪みが生じて、渦ができ、空気を取り込んで、泡が音を生じさせるのだ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ