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二度目の夏

第1章 秘密は橋の下で

「えと、あのさ、かーくん、2組の女子、どーすんの?」
「え?」
「2組の、あの、田中さん」
「ああ?…うん…」

田中さんは美人で賢かったので、同級生の中でも一目おかれ、男子にも人気があった。
カケルも整った容姿をしていたことに加えて、クールな態度が大人びていたので、女子に人気があった。
同級生達は、自分達があこがれていも、現実的に自分の恋愛対象として釣り合いそうにない二人を、勝手に恋人としてくっつけて、自分の恋愛をあきらめる言い訳にしようとしていた。

「カケル君って、田中さんと付き合ってるんでしょ」
「田中さんがカケル君にチョコあげたらしいよ」
「二人で手をつないで歩いてたって」
「どこまでしたんだろ」
「朝帰りだったって聞いたけど」
「まあもうやってるでしょ」
「やだー」
ーでも、あの二人なら、仕方ないか。

そんな、根も葉もないウワサがまことしやかに囁かれていた。




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