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二度目の夏

第1章 秘密は橋の下で

「…どうすんの?みんな勝手なこと言ってるよ?」
「うん…」
「かーくんは…田中さんのこと、好きなの?」
「…うーん…」

カケルは後頭部をポリポリと掻いて、曖昧な返事をして、ごろんと仰向けに寝転がった。
カケルはアイスを口に咥えて橋脚の下面を眺めている。
鳩が巣をつくっているのか、2羽、橋脚の横木にとまり、喉を鳴らしている。

僕は黙ってカケルの返事を待っていた。
心臓がバクバクしていた。
いつも聞けなかった質問を、思いきってカケルにしたのはよいけれど、やはり答えを聞くのは怖かった。

ーカケルが田中さんのこと好きだっていったら、どうしようか…

聞いたことを今更になって後悔する。

カケルの口の端から、溶けたアイスの白い液体が一筋、垂れた。

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