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星の君と氷の私

第14章 14

声のした方を見ると私の大好きな人が立っていた

「っ!!!」

犯人は私のことを離して逃げていった

「あ、おい!!待て!!」

「あいつは俺が追いかけるから駿は雫ちゃんを!!」

「わかった」

こんな姿見せたくなくて…私は咄嗟に前を隠した

体育座りみたいにして両手で胸を隠した

これなら駿にバレないと思う…

いや…バレて欲しくない

駿の顔が…見れない

怖い…

「雫」

駿が駆け寄ってきてくれたけど何もいえなかった

声が出なかった

「もう大丈夫だから」

本当はその胸に飛び込みたい

思いっきりぎゅーしてほしい

けど…そんなこと頼めない

だって私は…私は…

"汚れてしまったから"

「少しだけ我慢してくれる?」

頷くこともできない私が精一杯だした声は
聞こえるかも分からない声だった

「ん……」

駿は私を簡単に持ち上げておんぶしてくれて

きっとばれてると思う

私が…何をされたのか

どーいう状況になっているのかも

でもあえて聞いてこないのは…駿なりの優しさなのかな

駿のお家について脱衣所で優しくおろしてくれて

私の方を見ないようにしながら渡してくれた

「これ使ってないタオルだから、あと着替えるもの置いとくからとりあえずお風呂入りな?」

「……うん」

がちゃ、私は駿が脱衣所からでるとすぐに浴槽に入った

ジャーー、シャワーを流して…私は体を洗った

何度も何度も…

洗っては流し、洗っては流しを繰り返した

未遂とはいえ…触られた

あんなに嫌だったのに…感じてしまっていたのかもしれない

あんなに優しくしてくれて、1人じゃないって
教えてくれたのに

私は…駿のことを裏切ってしまったのかもしれない

あんなに優しい駿のことを…

1人で帰んなければ…駿を待っていれば…

涙が頬を伝ってシャワーのしずくと落ちる

ちょうどいいお湯のあったかさが心に染み渡って
涙が次々と溢れ出ていた

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