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星の君と氷の私

第3章 3

「えー雫さん、俺のおかげって言ってくれたのにー?」

いや…わかんないけど確かに相田くんのおかげだと思う

日に日に酷くなっていく"あの夢"を見なかったのは

寝るのが怖かった私に気づいてくれて一緒にいてくれた

お礼聞いてあげたい…けど…私にとったら難しい

「雫さんー、早くー早くー」

覚悟を決めようとしているのに隣で煽ってくる相田くん

あー、もう。覚悟を決めないと!

私は深呼吸をして彼の名前を放った

「…し…駿…」

「え、雫さん?聞こえなかったからもう1回!」

えーただいまの相田くんの顔はニヤニヤしております

ってことは絶対聞こえてたじゃん!

もう1回言うのやめようと思ったよ

けど、また相田くんが「早くー早くー」って煽ってくるから

私はもう1回覚悟を決めて今度は相田くんに伝わるように言った

「……駿…」

「ん、よくできました」

あい……駿が私の頭を優しくポンポンしてくれた

っ………………。

「それでさ、雫。やっぱり聞きたいことがあるんだ」

「な、なに?」

真剣な顔をして私の方を見た駿

その顔は保健室で見た時と同じだった

もしかして……

「雫の過去が知りたい。どうして怖い夢を見るのかも」

ドキ…ドキ…、嫌な予感は的中した

やっぱりそうだと思っていた

私…駿に…言ってもいいのかな…

…あの町に記憶も思い出も全部封印してきたのに

いいの?…本当に…

"ダメダ…シズク…"

脳裏に司が浮かんだ。司の声が聞こえた

でもそれは私の知っている司の顔じゃなくて…

あの夢の時の怪我をした司の顔だった

"ヤメロ…シズク…"

司が私の首を掴んでこようとした気がした

ここには司はいないはずなのに…

嫌だ。来ないで…

「雫?」

司が私の方に来ようとしてきている

止めて…嫌だ!!

「雫!」

司に手首を掴まれた

「嫌だ、離して!」

「雫、俺の目を見ろ。いい子だから」

司とは違う声に言われた通りにしたら

……私の目の前にいるのは…駿だった…

司がこの場所に居ないことは分かっていた

でもどうしても…司の声が聞こえて…

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