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星の君と氷の私

第5章 5

「ごめん。」

また私は駿の腕の中で泣くことになった

どこにそんなに涙を貯めてるの?っていうぐらい

涙が出てきて…

あのころは…涙脆くなかったのに

涙腺壊れちゃったのかな?

「駿…ごめん。泣き虫で」

私は駿に謝った

駿と出会ってからたくさん泣いてる気がする

気のせいじゃなくて

「いいよ。俺は今の雫の方が好きだけどな。
会った時の雫はなんか壁作ってるみたいな感じだったし。」

壁作ってくる…か…

確かに作ってたかもしれない。

もう友達も恋人も要らなかったから

基本的に1人で居れば誰も傷つかずに済むと思ってたし

「なー雫、あれって何?」

少し落ち着いた頃、駿が司の本棚を指さした

そこには中学の卒業アルバムがあった

「え、卒業アルバムだけど…」

「見たい!見ていい?」

今にも取りに行きそうな勢いの駿を私はぎゅっとして止めにかかりました

司の卒業アルバムがあるってことは…

司のお母さんたち貰うことにしたんだ

司が亡くなったのは中学3年の頃

もうほぼほぼ卒業アルバムは完成していた

費用も払っていたから司のお母さん達にもちゃんとあげると先生が言っていたな

「ちょ、雫先輩。」

「ん?あ…え…」

私から駿に抱きつくことなんかなかったし…

いつ離れればいいかわかんない

「先輩、顔赤いですよ?」

「うっさい!」

恥ずかしいに決まってんじゃんか!!

もーこの状況はどうしたらいいんだろうか

「可愛いことしちゃって。卒業アルバムは見ないから。ね?」

そういうんだったら離れてもいいのかな?

私は駿から離れた

そしたら普通に卒業アルバムを取りに行ったんですけど

「雫ちゃんはどこかなー?」

って言いながらページをめくっている駿さん

さっき見ないって言ってましたよね?

え、嘘だったん?

「雫も見ようよ!一緒に」

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