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星の君と氷の私

第8章 8

私は、駿にたくさんの勇気をくれた

背中を押してくれた

だったら…今度は私がその背中を押す番じゃないかな?

駿がどんなことを悩んでるかわかんないけど

些細なことかもしれない

でも、助けてあげたいって思う

だって、私を助けてくれた"ヒーロー"だから

「私は、どんなに辛いことを駿が抱えていても支えたいし助けてあげたいです」

「本当に?その思いは変わらない?」

「変わりません。」

私は心と翔くんの顔を見てはっきりと伝えた

駿が優しく包んでくれたように今度は私が
包み返してあげたいから

「雫ちゃんの気持ちはちゃんと伝わった。心、雫ちゃんに話してあげよう?」

「うん…雫、これから話すことよく聞いて欲しい」

「う、うん?」

「これだけは約束して。辛くなったらちゃんと伝えて」

「わかった」

今から話すことは何となく予想がついた

きっと…駿の好きな人についてだと思う

あの日から駿と話せなくなっていたこと

少しずつ気まずくなっていたこと

やっぱり2人にはバレていたんだね

「駿も雫が少しずつ避け始めていることに気づいてた、だからこそ今話そうって心と決めたんだ」

やっぱり…駿にも気づかれちゃうよね…

そりゃあ、そうだよね

あきらかに態度かえっちゃってるもん

「雫、さっきの約束は守ってね」

心から言われたあと、長い沈黙が続いた

私は静かに2人が話してくれるのを待った

翔くんが静かに…口を開いた

「あいつのさ…好きな人は…もういないんだ…」

「え…」

急に告げられたその言葉は私の頭の中でずっと響いていた

どういうこと…いないって…

引越しとか…かな

「吉田 優羽って言うんだけどさ…俺と心と駿で幼なじみだったんだ」

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