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星の君と氷の私

第9章 9

「し、雫…なんで…」

振り返って私を見た駿は驚いていた

優羽さんの存在を知らないって思っている私がいるんだから

驚いている駿の隣に行き私は静かに優羽さんのお墓に手を合わせた

初めまして、こんにちは。

私、中野 雫って言います、駿くんと同じクラスメイトです

優羽さんは、駿のこと恨んでないですよね?

なんなら…幸せな時間を最後に送れたから良かったですよね?

って…声をかけても返事はかえってこない

当たり前だけど

私は隣に固まっている駿の手を引き、近くにあるベンチに連れていった

駿をベンチに座らせて、私は駿に抱きついた

「え…」

「駿は悪くない。それに優羽さんだって幸せだったと思う。」

自分は病気だって先生から言われて

余命宣告までされて絶望だったと思うし

すごい悲しかったと思う

でもそんな中で演劇会を通して駿と…好きな人と
ヒロインと王子様って関係になれて

すごい嬉しかっただろうし、キスだって嬉しかったんだなって翔くんの話を聞いて思った

でも駿はそれを知らないし、自分のせいにしてる

だからこそ誤解を取らないと

「駿は優羽さんの心に光を当ててくれた。だから最後の最後まで楽しく生きられたんだよ」

私は駿を抱きしめながら続いて声をかけた

「だから駿のせいじゃない。優羽さんは駿にちゃんと救われてる!」

「…ありがと…ごめん」

駿から言われた言葉

その言葉は震えていて…私は何も言わずに抱きしめていた

駿が落ち着いた頃、「ごめん、大丈夫」って
言われて私は駿から離れた

きっと1人で抱え込んでいたんだろう

私みたいに

自分のことを責めて…命日になるとごめんって謝りに来てたんだろうな

優羽さん、安心してください

駿は私が守ります。

駿の隣に座って空を見ながら心の中で伝えた言葉

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