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星の君と氷の私

第10章 10

『白雪姫が…白雪姫がっ…!!!』

心や他の小人役の人達が泣きながら崩れていき

その隣に寄り添うように翔くんが隣に座った

『王子様、私たちと一緒に来て貰えますか?
王子様しか、頼れる人がいません』

『あぁ、分かった。案内してくれるか?』

ここで舞台が暗くなった

暗くなっている時間帯は限られていて

その間に白雪姫といったら定番のあのシーンの準備を始めた

準備が整い、舞台が明るくなる

舞台の中央に毒林檎で倒れてた白雪姫

私が横になっている

あの、なんだろう

上を向いて寝ているからだと思うんだけどすごい眩しい

いや、まぁ仕方ないんだけどさ

真ん中のライトだけつけて辺りは暗くしているから

ちょっと照明暗くして欲しいって頼もうかな

演出が悪くならない程度に

『白雪姫…どうしてこんなことに…』

駿が私の手を掴んできた

『白雪姫が毒林檎を食べたのです。それから目覚めなくて…』

『なにか目覚める手がかりみたいなのは無いのか?』

『…あります』

『それはなんだ?』

『…キスです』

ここまではリハーサル通り

あれ、ちょっと待って

白雪姫は王子様のキスで結ばれる

だけど私たちがリハーサルをしているときは

キスシーンはカットしていた

私たちってキスするの?

『そうか、分かった…』

目をつぶっていても分かる

目の前が暗くなって私の顔の前に駿の顔があることを

え、えーとこれはふりだよね?きっと

本当にしかも本番でキスなんかしないよね?

なんて考えていると観客席の方から黄色い歓声が聞こえてきて

何が起こってるか頭が追いついてこなかった

けど、唇に駿の熱を感じて

私、駿と…キスをしてるんだ

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