僕らのStoryline
第3章 手を取り合って
阿部はそのまま楽屋を出ていった。
「舘さん!このあとなんかある?」
ふっかに予定を聞かれる。
「俺も阿部ちゃんもこのあとフリーだったと思うんだけど、飯行かね?」
「いや、ちょっと…」
「そっか!じゃぁ、阿部ちゃん誘うわ」
「いや!」
「え?」
「いや…」
「なに?」
「なんでもないよ」
何を言おうとしてるんだろうか。
阿部は俺と約束があるから無理だよ、とでも言えればいいけど。
言ってもいいのか?
でも、阿部のことだからふっかも誘おう!とか言いかねない。
そうなると、断った俺って…
どうするのが正解だったのか…
阿部が戻ってきた。
「あっ!阿部ちゃん!終わったら飯行こうよ!」
「ごめん!ちょっと今日は先約があって」
「そっかぁー!残念」
一人でご飯くらい食べや!とこうじに言われてる。
ふと視線を感じて目を向ける。
阿部が俺を見てた。
ニコっと笑って佐久間と話し出した。
なんだ、今のは。
鞄を手に取ろうとしていたのに思わず、止まってしまった。
振り回したいのに、振り回されてるな。
完全に。
勝手に店を決めて予約を入れた。
それをメールで伝える。
一言だけ、「楽しみ!」と返事がきた。
やっぱり、振り回されてるな。