僕らのStoryline
第3章 手を取り合って
店に着いた。
店には別々に来た。
だって、ふっかには用事があるということになってるのに俺と阿部が一緒に並んで楽屋を出るのもどうかと思ったからだ。
店に入ると、お連れさまがお待ちです、と言われた。
通してもらうとすでに阿部がいた。
ジャケットを預かってもらって阿部の向かいに座った。
ビールを頼み二人でメニューを見る。
頭が触れそうな距離。
「なんか…」
「ん?」
「舘さん、いい匂いする」
「え?」
「香水?じゃないよね、なんだろう?柔軟剤なのかな。俺、この舘さんの匂いすごく好き」
と言う。
匂いが好き、じゃぁ、俺のことは?
「匂いか…」
「え?」
「もうさ、そんなめんどくさい言い方しなくていいよ」
「めんどくさい?」
「ストレートに言ってくれ!ってこと」
「…俺に何を言わそうとしてるの?」
「…じゃぁ、俺が」
と言ったところでビールが届いた。
間が悪い。
ムカついて、手書きのオススメメニューのところを五つほど頼んだ。
「乾杯だね?」
「お疲れさま、乾杯!」
グラスを合わせた。
続きを言いたいのに言わせてはくれなくて。
やっぱり、阿部に振り回されてるな、と思う。
だけど、それも悪くないと思ってるわけで。