僕らのStoryline
第3章 手を取り合って
「うまぁ~」
適当に頼んだけどどれも当たりだった。
阿部は箸を口に運んではそう口にして。
「酸味が結構あるね」
「お酒がすすむね」
と、料理の感想を言い合ったり、最近のメンバーの仕事について話したり。
二時間近くたっていた。
頬杖をついて右手でグラスをもったり、置いたりを繰り返しはじめた阿部。
「酔った?」
「んんん、大丈夫。でも久しぶりに気持ち良くてこのままだと寝ちゃうかも」
「そっか…阿部、そろそろ踏み出さない?」
「え?」
カチャンとグラスの中の氷が揺れた。
「俺たち、いいんじゃないかな」
「…」
「俺の気持ち、気づいてるだろ?俺には阿部、お前が必要だ」
顔を両手で覆った。
「ダメだよっ」
「なんで?」
「だって…俺じゃ…」
阿部の隣にいき、両手を握り顔から離す。
「俺が、阿部がいいんだよ。阿部もだろ?阿部には俺が必要だよ」
阿部がチラリと俺を見る。
目が合ったから首を傾げてみる。
「うっ!!!」
阿部はテーブルにつっぷした。
「どした?」
「ズルい…そんな可愛い顔しないでよ…」
「可愛いって…阿部の真似してるんだけど…」
「俺がするのと、舘さんがするのじゃ、価値が全然違うよ」
何を意味のわからんことを…
俺は阿部に今日の雑誌の撮影のときのことを話した。
「俺は阿部のこと考えた…」
「舘さま…」
「阿部は?誰のこと考えてた?」
「言いたくない」
そんな顔して…
「教えて…ね?」
それからどうなったか、それは、もうね。
俺も28才なんでね。