僕らのStoryline
第5章 もっと もっと
「ふっかさんはあったんですか?」
「…ない、というか…」
「こうじは、ずっと服着たままでしたね…俺はこうじの全部見たいんだけど、枕抱いて声も絶対に出さないようにって…」
「なんで?今も?」
「今は、そんなことないですけど…最初はそんなで…俺相手に無理なのかな?って思ったこともありましたけど…」
こうじが目黒を好きで、好きで。
砕ける覚悟も出来なくて、でも、気持ちが溢れてしてしまった告白。
目黒は自分から言いたいからやり直しさせてくれ、って言ったとか。
まじで男前。
「だって、」
「ん?起きてたの?」
「だって、ずっとシテ欲しくて…でも怖くて、怖いなんて言うたら、絶対にめめはやめるやろ?それが嫌やった」
「そりゃぁやめるよ、怖いのに…」
「怖いなんて言うて、やめたらもう次はないかも…って」
「そんなこと思ってたの?」
「やって…怒らんで…前はな?今はちゃうで」
しっかり、寝たふりしてたこうじの本音を聞いて、俺は納得した。
だけど、それだけじゃないんだ。
確かに怖くて…ってのは分かる。
あんなのが尻に…怖くない方がおかしいだろ?
「じゃあね、ふっかさん、ご馳走さまでした」
「はいよ、またね」
あのあとも二人のノロケを聞かされて照に会いたくなった。
声だけでも聞きたくて電話でもしようか。
タクシーに乗って流れる音楽が俺たちの新曲だった。
心地よくて、俺は目を閉じた。
運転手さんに起こされお金を払いタクシーを降りた。
酔ってないけど、気持ちが良くて。
家に着いたら電話して、声でも聞こうって。
エントランスに入ったら、いた。
「おせぇ」
「照」
「いつまで待たせんだよ」
「ごめん…」
エレベーターに乗り込んで隣並ぶ照の横顔を見上げる。
背負うリュックサックもいつものキャップも。
「照」
「うん?」
「ううん、なんでもない」