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僕らのStoryline

第7章 天使のしわざ


「見に行きたいなぁ」

「一緒に行く?」

「いいの?」

「もちろん!!」

あべちゃんが俺を映画に誘ってくれた。

「いつ行く?」

「実はさ…」

俺は完成披露試写会のチケットをゲットしていた。

「すごいじゃん!さくま!」

「うん」

これで、彼に、ラウールに会える。

俺は、ドキドキしていた。



ついに、完成披露試写会の日がやってきた。

「かっこよかったね」

「……」

「なんか、彼だけ別次元の人みたいに見えたよ」

「……」

「高校生なんだろうけどさ、すごいなぁ」

「……」

「さくま?大丈夫?」

「っだ、大丈夫…かっこよかった…」

俺はそう言うのがやっとだった。

「ねぇ、まだ大丈夫でしょ?」

阿部ちゃんは俺に見せてあげたいものがあると言って
スタスタと歩いていく。

俺は映画の興奮がおさまらなくてなんだかフワフワしてる。

「ここ、見て」

それは本屋とCDショップが一体となったところ。

「ここ…うわぁ!!!」

映画公開を記念して彼が表紙を飾った多くの雑誌、映画の予告が流れるモニター、そして、衣装の展示など店内は溢れていた。

「ほら、さくま!ラウールだよ」

「本物…ではないか…」





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