僕らのStoryline
第7章 天使のしわざ
「乗って!」
「え?でも…」
彼は自転車にまたがっていた。
自転車の2人乗りって法律で禁止されてるんじゃ…
「細かいことは気にしない!怒られたら、一緒に謝ってくれるでしょ?」
俺はそうやって無邪気に笑う彼につられて、笑った。
「…っ、さぁ、ね、乗って?」
2人乗りなんて、初めてだ。
後ろに座ると俺の腕を自分の腰をまわした。
「行くよっ!!」
彼の長い足がペダルをぐいぐいと押して前に前に進む自転車。
彼の細い腰に腕なんて回していいものか、迷ったけれど
自転車は思ったよりも左右に揺れる。
「わぁ!わっ!怖いっ」
「大丈夫!捕まって!」
腕にギュッと力を入れたら細いけど、案外筋肉があるな、なんて思って。
「坂だよ~!しっかり捕まっててねぇ~」
と、歌を歌うように言った。
坂を下る自転車は風を切って進む。
夏の肌に張り付くような空気が俺の頬を通りすぎていく。
「いぇーい!!暑い~!でも楽しいぃ~」
足をブラブラさせて、ハンドルを動かす。
先がゆらゆら揺れて俺はもっとギュッとくっついた。
「ねえ?楽しい?」
「うん!楽しい!」
「よしっ!行くぞっ!」
坂を下るとまた自転車をこいでいく。
どこに行くの?とか、なんで俺なの?とか。
聞きたいことがたくさんあるのに。
「よし。着いた!」