僕らのStoryline
第10章 兄貴の恋
俺を"蓮くん"と呼んだのは兄さんに何でもない日にピアスをあげた、兄さんと同じクラスになった向井康二だ。
関西弁だし、なんか兄さんのことを自分の兄に似てると言っていて、俺にまで兄弟だ、なんて言ってくる人で。
「さっくんって誰?」
「同じクラスだよ。ピンク色の髪色の子やで」
「ねぇ、そいつって」
「れん!」
「兄さん…と」
「ピーーース!佐久間大介でーーーす!!」
と、両手でピースをしてきた。
テンションが高くて驚く。
「佐久間、蓮、ひいてるから」
と、佐久間大介の肩に腕を回し自分に引き寄せた。
「にゃはは!あれ?いつもの挨拶なんだけどな~」
「最初からこれでみんなにいくんやもん!みんなビビるわ!」
身長差のせいだ、と今、心の中で唱えている。
上目遣いで兄さんを見つめる瞳と、それを目尻にシワを寄せて微笑む兄さん。
俺は無意識に胸をおさえた。
「…次、移動なんだ、先行く」
いつもなら、兄さんの話をたくさん聞きたいのに。
ギリギリに教室に行くくせに。
なんで、こんなにモヤモヤするんだろう。
なんで、こんな…
やっぱり恋人同士なんだ。
俺には分かる。
だって、俺は弟だから。
兄さんの弟だから。
分かるんだ。