僕らのStoryline
第10章 兄貴の恋
「二人きりになりたいと思うんよね。やから、優しさを出したっちゅうわけよ」
二人きり…
優しさ…
「二人きりになりたいって兄さんが言ったの?」
「言わんけど、明らかに俺、お邪魔虫やもん…」
むかいこうじの話しだけを聞けば、やっぱり兄さんたちはそういう関係ということだろう。
でも、俺は兄さんから聞いてない。
なんで、俺に言えないの?
なんで、俺に話してくれないの?
なんで、俺、弟だよね?
「どうしたん?」
むかいこうじが俺の肩に手を置いた。
「泣きそうな顔しとるよ?」
「…別に、なんでもないし…」
「…なぁ!お腹すかん?もう食べちゃった?」
「別に腹なんて…」
グッーーーーーー
正直な俺の腹の虫
「空いとるやん」
ニヤニヤ笑うむかいこうじにまた少しイラっとしたけど。
「近くに美味しいラーメン屋さんあるんよ、行かない?」
「…行く…」
むかいこうじの後をついていく。
いつもうるさそうなむかいこうじだけど、静かに。
何も喋らなかった。
俺にはそれがすごくありがたかった。
「ここ」
「美味しいって誰でも知ってるじゃん」
「美味しいやん!」
「そうだけど…」
そこは誰も知ってるチェーン店のラーメン屋さんだった。