テキストサイズ

学校の七不思議

第6章 【A】

 次の日、学校に行くと大きなトラックが止まっていた。


「何かあったの?」

「なんか二宮金次郎の像がね、道端に倒れてたらしいよ」

「!」


 まさか……と思った。
 カレンちゃんの言うとおり、本当に二宮金次郎が夜中に動いて走り回っていたのかもしれない。
 そう期待したのに、


「他の小学校でも、像が盗まれる事件があったらしいよ~」


 最後まで話を聞いてガッカリした。


「立花さん」


 名前を呼ばれて振り返ると、担任の美代子先生がこっちに歩いてきた。


「昨日は大丈夫だった?」

「はい、無事に宿題を取りに行けました」

「そう、良かったわ。ところで立花さん、昨日はどうして人形を……」

「人形?」


 私が首を傾げると、美代子先生は微妙な顔をした。


「ううん、なんでもないわ。やっぱり見間違いだったみたい。さ、教室に行きましょう」


 なんなんだろう。
 先生が言いかけた「人形」って……。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ