不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第4章 高鳴る胸の鼓動
仕事の打ち合わせで、駅前に来ている。
新しくオープンする美容院のロゴやリーフレット、屋外看板など一連のデザインに携わることになり、店長と顔を合わせてきたところ。
「順調にいけば年内にオープンだから…」
頭の中を整理するためにとりあえず座ったベンチで、スケジュール帳を確認する。
11月に入り、気温はぐっと下がった気がする。
日差しはぽかぽかと気持ちいいけれど、冷たい風で首元が冷える。
うっかり玄関に忘れてきた薄手のストールのことをふと思い出したとき、携帯が鳴った。
バラ組のトークルームが光っている。
[同窓会、行けそうだよ〜!全員は集まれないけど、楽しみだな!写真撮ろうね♪]
奈美も来れることになり、ますます楽しみになった。
奈美は一見、目立った事はしないし人にも深入りするタイプではなさそうに見える。
けれど、意外としっかり見てくれていたり、心を寄り添わせてくれるような言葉をくれたりする。
中学生だった当時よりも、大人になった今のほうが奈美との絆は深まっている気がしている。
紗奈
[第3土曜日だよね?どっか待ち合わせしよ〜!]
アンナ
[紗奈は早めに帰らないとだから、同窓会は19時からだけど私たち先に集まろうよ!]
ケイ
[少しだけ顔出せたら出すね!同窓会は気が重いけどバラ組だけなら少しでも顔見た〜い(笑)]
私は[いいね、アップル?]と打ち込んだ。
紗奈[じゃあ17時くらいにアップル現地集合!]
[はーい!]
[了解♪]
思いがけず、5人全員で集まれるかもしれない事に心は踊っている。
歩き出した公園には大きな噴水がある。
なんだか気分が晴れやかで、少しくらい寒くても…!とコーヒーショップのテラス席へ座る。
ホットハニーカフェオレを注文し、どこを見るでもなく外に目をやりながら私はまだ、なにを着ていくかなんて考えたりしていた。
同窓会まであと2週間。