不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第4章 高鳴る胸の鼓動
フリーランスというのは、自由はあるが案外孤独なものだーーー…。
私はクローゼットをひっくり返して、同窓会に着ていく服を選んでいた。
新しく買おうかとも思ったけれど、なんだか気合いが入りすぎるのも…絶対バラ組におちょくられるし、なんとかこう…気取らない、シンプルな装いで行きたい。
ーーー結局、白いブラウスと黒いスキニーパンツという、ドシンプルなものしかピックアップ出来ない。
この歳になって、「何着てく〜?」なんて友達に持ちかけるのはなんだか気恥ずかしい。
私は思い立ったように奈美に電話をかけた。
ほどなくして奈美が
「やっほ〜!どうしたの?」
と、やわらかい口調で話す。
「髪切りたくてさ〜!いつ空いてる?」
「いつでもいいよぉ、今日でも明日でも!」
「ほんと?良かった〜!ごめんね、いつも突然で(笑)じゃ、明日にしようかな?」
「OK〜!ミライが時間あるならそのあとお茶でもする?」
奈美はもともと都会のヘアサロンでバリバリ働いていたが、結婚・出産を経て今は実家の美容室を母親と一緒に営んでいる。
だからある意味、私と奈美はわりと自由がきく生活をしている。
「しよしよ〜!でも再来週にはアップル行くしなぁ…あのカフェ行く?角にあるソファーのとこ!」
アップルみたいに古さはなく、店の外には白いソファが並んでいる綺麗目なカフェだ。
私はその席で外の風を感じながらゆっくりするのが好き。
「ミライあそこ好きだよね(笑)ピザ美味しいんだよね〜!じゃあお茶じゃなくてランチにしちゃう?」
「せっかくならピザ食べたいよね!じゃあ奈美のところには10時とかに行けばいいかな?」
「そうだね、じゃあ明日10時に待ってます。」
私は選んだブラウスとスキニーパンツを出来るだけ丁寧に畳んだ。
ひっくり返したクローゼットの整理をしていたら、あっという間に日が沈む。
まだ残っている仕事があるし、急いで夕飯を作ろう。
幸か不幸か、旦那であるフミはわりと何に対しても無頓着で、夕飯にも家事にも文句をつける事は無い。