不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第4章 高鳴る胸の鼓動
なるべく手際よく豚の生姜焼きと味噌汁を作り、フミはまだ帰ってこないので私は自分用のホットミルクを淹れて仕事部屋へ入る。
パソコンの前で作業を開始して1時間経ったくらいの頃、フミからメッセージが入る。
[梅宮さんと飯食ってく]
"梅宮さんと飯"の日は、100%の確率で帰りが遅い。
梅宮さんお気に入りの、隣町のスナックへ行く事を私は知っている。
あぁ、明日はフミ、休みか…。
いつしか休日の共有もしなくなって、それぞれがそれぞれの仕事をするようになった。
連絡が遅いとか、夕飯作ったのにとか、そんなことを言う気持ちにもならなくなっていた。
時刻はもう20時になるところで、私は椅子に貼り付いたお尻を持ち上げてリビングへ向かう。
冷めた生姜焼きをレンジで温めて、ごはんをよそる。
無言でそれを食べ始めた頃、メッセージが届いた。
[ご無沙汰してま〜す!同窓会だけど、バラ組は集まりそうかい?]
平野からだった。
なぜだか分からないが、平野からバラ組への連絡などは私に届く。
[ケイは来れないけど、ほかの4人は行くよ〜!紗奈も顔だけ出して帰るみたいだから、最後までの参加は3人かな。ヨロシクね〜!]
メッセージを送るとすぐに既読マークが付く。
マメな奴だ。
[了解〜!●●駅前のカジュアルバーを貸し切るからお楽しみに♪コウヘイも来ます(笑)]
私が当時コウヘイ君のことを好きだった事は、結構みんな知っていたりする。
ホワイトデーにコウヘイ君が、教室で堂々とお返しを渡してきたのがきっかけで…。
私は懐かしくて、純粋に笑みがこぼれた。
そして、すぐさま平然を装いながら
[瀬川くんは来るかな〜?久しぶりに話したいな!]
と送ると、またすぐに既読マークが付く。
[なんかすげぇタイミングで聞くね!今、瀬川と飲んでるんだよ(笑)同窓会も来ますよ♪]
ドキッとした。
女子組はいくつも派閥…というかグループが分かれていて、誰と誰が仲良くて誰は誰と仲が悪いとか、複雑だけれど。
男子組はわりとみんな仲が良いみたいだし、平野と瀬川くんは家もそう遠くないから不思議では無い。
ドキドキして返事を返せずにメッセージを見つめていると、なんと平野から電話がかかってきた。