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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第23章 熱のあとで



「俺さ。中学の頃お前のことすげえ好きで、お前が転校してからもずっと気になってた。あの頃は子供だったから、からかう事しか出来なかったけどな。

結局今は独身でもないし…お前にハッキリ気持ちを伝える事も出来ないけど……

同窓会でお前に会ってから、俺結婚してなきゃ良かったって、本当は何度も思った。

それはあいつに対しての裏切りにもなると思う。だから責任は必ず取る。だけど…

だけど俺の本音は、お前の手料理もっと色々食べてみたいし、違う季節の海もお前と一緒に見たい。」





「…うん…」






そっと抱き合い、互いの熱を感じる。




「瀬川くん…。あれから15年以上も経っちゃったけど、私たち今も隣の席だね」



「ははっ(笑)そうだな。やっぱお前じゃないと楽しくないわ、あの頃も今も…」



「私もだよ。……ほんとは…独り占めしたいけど、我慢する。もう大人になっちゃったから…」




私たちは最後のキスを交わすと、もう一度強く抱きしめ合って別れた。



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電車に揺られ、改札でずっと見送っていた瀬川くんの姿が蘇る。



何度もキスをしてひとつになった昨日は、もう消せない。



もう、戻れない…---








久しぶりに携帯を確認すると、平野からのメッセージが入っていた。




[ 年末のキャンプの下見に参加してくださった方、ありがとうございました!良いキャンプ場でした。4月に本番の予定でしたが、川で遊べそうだったので夏に改めて企画しようと思ってます。

ということで、春には同窓会の時にも希望があった温泉旅行に行きませんか?車で2時間程度の、港町の温泉地です。日時の希望を…----]





瀬川くんは同級生のグループチャットに参加していないから、まだ知らないかな…?




私はさっき別れたばかりの彼にメッセージを送り、温泉旅行に思いを馳せた。



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