不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第23章 熱のあとで
[ お前といる間に平野から着信入ってて、今気づいた。]
というメッセージの20分くらい後で、もう一度メッセージが届く。
[ なんか射的とかも出来るような古き良き温泉街らしい(笑)お前行く?俺はとりあえず保留にしといたけど ]
[ えぇ~楽しそう!行きたいけど、瀬川くんはまだスケジュールが分かんない?]
[ いや、お前が行くなら。射的するか(笑)]
私は平野に参加の連絡をすると、バラ組のトークルームをひらいた。
みんな既に温泉旅行の話で盛り上がっていたけれど、泊まりという事もあり来れる人数は少なそうだ。
温泉旅行の日程までは、2ヶ月の期間があいている。
[ 2ヶ月も先だから、それまでにまた会えたらいいな]
[ 再来週そっち帰るよ。平野たちと飲む予定だけど、お前も来る?]
思いがけず2週間後に会える事に胸が躍る。
[ いいの?変に思われないかな?]
[ 大丈夫だよ。平野には昔からわりとなんでも話してるし、なにかは察してると思う。コウヘイはうるさいかもしれないけど(笑)]
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次の週末、私は紗奈と小洒落たバルにいる。
「あれからなんだか少し落ち着いてさ、最近肉が食べたくて仕方なかったのよ(笑)」
「あはは(笑)いっぱい食べよう!そういえば赤ちゃんの名前とかもう決まったの?」
ハイボールとオレンジジュースで乾杯をする。
「う~ん、本とか買って調べてるんだけど、なんかしっくり来なくてね。やっぱ顔見ないとなぁ…」
「いいじゃん、顔見てからでも遅くないよ。その感覚分かるかも、子供はいないけどね」
肉やサラダが運ばれてくると、私は携帯で写真を撮って瀬川くんに送った。
「…あんた、なんだか調子よさそうね。良いことあった?」
一瞬ドキッとして固まってしまう。
「え?…え?そう?」
「……瀬川?」
紗奈はそう言うと肉を頬張る。
「紗奈、ほんとすごい。だてに私と長年付き合ってないね(笑)」
「でしょ?…って、ごまかすな(笑)」
先週瀬川くんと会ったことを打ち明けようとした時、奈美がやってきた。
「お待たせ~!うわぁ、美味しそう!」
奈美は私の隣に腰掛け、上着を脱ぐ。