不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第24章 それぞれの事情
「今ね、ミライに瀬川との情事を聞き出そうとしてたとこ。」
「え、なになに~?」
「ちょっと、情事ってなんかいやらしいんだけど(笑)」
早速盛り上がりながら、紗奈はカクテルを注文する。
改めて乾杯すると、2人は私の言葉を待つように黙る。
「先週末ね…。瀬川くんのアパートに行った。」
2人は目をまんまるにして私を見ると、「やっぱ情事じゃん(笑)」と紗奈が笑う。
私はどんな顔をしていいか、なんと言って良いのか分からずハイボールをゴクゴクと飲んだ。
「え……マジなの?」
紗奈が言い、奈美も私を見つめている。
こくりと頷くと、確信をつくように「したの?」と奈美が小声で聞く。
私はもう一度頷いた。
「瀬川くんが風邪ひいて…金曜日ね、駆けつけておかゆとか作ったらそのまま寝ちゃって…。土日も一緒にいたの…」
「…。やっちゃったか」
紗奈が素手で食べていたスペアリブを皿に置き、つぶやく。
「瀬川くんがどういうつもりなのかは…ミライはちゃんと分かってるの?」
奈美に言われ、別れる前の瀬川くんの言葉を思い出す。
「…うん、話してくれたけど…どうなるかは分かんない」
「前にも言ったけど、私は人のこと言える立場じゃないからさぁ。でも、どっかで何かしらけじめは付けないといけないとは思う。私はこの子を産むけど、もう一生この子の父親には頼らないし会わないって決めてる。どこでどうけじめ付けるのか、いつか必ず決断しなきゃいけないときが来ると思う」
「…うん…」
「瀬川くんは離婚するの?それとも火遊びな感じなの?」
「紀子が話に応じないみたいで、今のところ進展は何も…。火遊び…ではないと思うけど、実際どうかな」
そう答えると奈美は神妙な面持ちでカクテルを口に含み、んん、と唸るような声を出す。
「奈美、なんかあったの?」
「うーん…瀬川くんの話してるときに言うのもあれなんだけど。ミノルね、離婚するんだって」
「「えっ!!?」」