不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第25章 離別の道
「そんなわけないじゃんっ…瀬川くん。私いつも”瀬川くんに会いたいーっ!”って思ってるんだよ?もっと一緒にいたいし、たくさん……チュゥもしたい…」
「…本心?」
「うん。」
「俺、こんなにお前を求めてていいの?」
「私だって求めてるよ」
…瀬川くんは私の顎を優しく支えて再びキスをする。
大好きな彼の舌はコーヒーの味。唾液を絡め合ういやらしい音が響く。
「抱きたい」
ニヤリといたずらな笑みをうかべて瀬川くんが言う。
「…抱かれたい(笑)」
私たちは笑い合って車を降りた。
居酒屋に入ると、座敷で平野が手を振る。
3人でビールを注文すると、乾杯してすぐに平野が話し始めた。
「ミライちゃんっ!瀬川から聞いた?まぁいろいろと事情がありまして。今日のことは、バラ組のみんなにもどうかご内密に…どこから漏れるか分かんないから」
「うん、言わないよ大丈夫。」
「あざす!今日はおごりますんで!…瀬川が(笑)」
みんなでケラケラと笑う。
「映画どうだった?」
「こいつ観るの初めてじゃないのに泣いてんの(笑)」
「だってどうしても泣けちゃうんだよ~!瀬川くんは真顔!なんで?(笑)」
「男が恋愛もの観てシクシク泣いてたらちょっと引くだろ」
「「確かに」」
私と平野がハモると、またみんなで笑った。
そのうちにコウヘイ君もやってきて、来月の温泉旅行について盛り上がる。
瀬川くんはいつもどおり、必要以上に出しゃばらず、人の話を聞いてクスクスと笑いながらお酒を飲んでいる。
時折わたしを少しの間見つめるその視線がとても優しくて、もっともっと甘えてしまいたくなる。