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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第25章 離別の道



「もしもし?ごめん、今いい?ちょっとだけ。おつかれさん」


「うん!ありがとう。やっと少しゆっくりできそう」



「お前この1ヶ月ほんと大変そうだったもんな。変わってやりたいけど俺には出来ないし(笑)」



「あはは!気持ちだけで嬉しいよ。はぁ…しばらく会ってないから、私の顔忘れたでしょ?」



「んなわけあるか(笑)」


「そう?」


「顔どころかいろんなとこちゃんと覚えてるけど?」


「ちょっとまって、なんかいやらしいんだけど(笑)」



電話の向こうで瀬川くんがクスクスと笑う。




そういえば前に抱かれてから1ヶ月半が経っている。これまでは会えない間に自分を慰める日もあったけれど、最近は忙しくてそんな行為も自分の欲も忘れていた。



私たちはもうすぐやってくる温泉旅行の話をし、しばらくして話が途切れる。




少しの沈黙の後、彼は少し重い口調で話し始める。




「…何日か前、あいつの実家に行った。」



「紀子の?」

急激に頭がもやもやする。




「うん…。着いたの夜で。そしたらあいつ飲みに出てて居なくてさ。両親と話したんだけど、ほとんど毎晩飲みに出てて、男に送ってもらう事もあったみたいで…もう駄目だと思うって。これ以上俺に迷惑かけられないから別れたらどうかって言われたけど、俺もお前と……だし、情けないよな、本当」



「迷惑?」




「あぁ、一応籍は入ってるし、せめてもの責任?っていうほどカッコよくないけど、毎月金入れてるから…だと思う。そんで帰ろうとしたらあいつ遅くに帰ってきて、俺の顔見るなり”帰れ、どっか行け”って。俺、何も言えなかったよ」



「そうだったんだ…。」



「ごめん、こんな話。」


「ううん、話してくれてありがとう。」



「子供も居ないし家も無いし、別れるのは難しくない。でも酔ってないあいつとちゃんと一回は話さないといけないよな。」



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「瀬川くん…」


「ん?」


「逢いたい。今すごく」


「…俺も。いつでもお前に逢いたい」




温泉旅行まであと少し。




瀬川くんと紀子が別れに向かって歩き出した事に私は複雑な思いを抱きながら眠りについた。


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