不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第28章 花より団子
お茶を配り終え、私とアンナは窓から外を望む。
「この部屋もいいねぇ、川が見えるよ!」
「うんうん!大きい部屋は窓も大きくて景色がすごいね」
2人で優しい風を浴びながら話していると、
「そんなに気に入ったならこの部屋で寝ても良いんだよ?!」
とコウヘイくんが言い、またみんなでギャーギャーと盛り上がっている。
「…ねぇ、コウヘイくんっていつからあんなにミライに…?びっくりしたんだけど」
アンナが小声で言う。
「分かんない…同窓会で会ってから、キャンプとか飲み会でもあんな感じだったような…」
「マジ~!でも…ミライはあれだもんね(笑)、せ…」
「ちょっと!シッ…!」
ぼそぼそと会話をしていると後ろに気配を感じ、見ると瀬川くんと平野が立っている。
「なかなか良い旅館でしょ?」
平野は遠くの山を見ながら言う。
「うん!すごく良いね。そうだ、お散歩したいな。」
私の言葉にアンナはウキウキで
「行こう!さっき、あのへんにお団子屋さんがあったよ!」
と身を乗り出して川沿いを探す。
「いいね、桜も咲いてるし」
瀬川くんが言うと、一緒にこの町並みを歩けることに嬉しくなる。
ガラガラ、と扉が開くと綾香ちゃんたち3人の女子もやってきて、さらにガヤガヤと騒がしくなる。
「じゃあ、少し自由時間にしようか。夕食は18時半なんで、宴会場に集まってね~!」
平野が言うと、さっそく酒を飲み始める者や外へ出掛けていく者もいる。
「え、なになに?どこ行くの?」
そう言ってコウヘイくんが私たちのもとへやってくる。
「桜見ながら散歩して団子を食う、しぶいツアーだよ(笑)」
平野が言うと、コウヘイくんも一緒に来る気ではしゃぎ出す。
すかさず綾香ちゃんもやってきて、
「アンナちゃん、ミライちゃん、温泉旅行楽しもうねぇ♪私も一緒に行きたいな~♪」
と可愛らしい雰囲気をぷんぷんさせて言う。
「もちろんだよ、行こう行こう」
私が言うと綾香ちゃんは嬉しそうに「えへへ」とコウヘイくんを見る。
ふんわりしたワンピースがよく似合う綾香ちゃんを目の前に、コウヘイくんは気まずそうな顔をする。