不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第28章 花より団子
6人で表へ出ると、やわらかいそよ風に桜が揺れている。
「んん~!気持ちいい…!」
私は鼻から目一杯の空気を吸う。
隣ではアンナも真似をして深呼吸をしている。
パシャ、と音がして見ると平野が写真を撮っている。
「幹事、兼カメラマンなんで(笑)」
「ちょっと~!今私ぜったいヘンな顔してた!」
「大丈夫、アンナちゃんいつでも可愛いから」
「いや、ぜったい思ってないよね?!棒読みじゃん!平野~~!」
はしゃぎながらみんなで歩き出し、アンナの言っていたお団子屋さんを目指す。
綾香ちゃんは相変わらずコウヘイくんにべったりで、「私たちも撮ってぇ~!」と平野に写真を頼んでいる。
私は近くを歩く瀬川くんとクスクス笑い合う。
反対側からアンナが「ほんとに、綾香ちゃん積極的~!」と小声で言う。
お団子屋さんには色々な種類が並んでいる。
「私、みたらしがいいな!ミライは?」
「う~ん、迷うなぁ…」
「きなこも良いよねぇ~!そうだ、半分こしよ!」
平野がまとめて注文すると、男3人がおごりジャンケンをする。
白熱のバトルはコウヘイくんが負け、ゲラゲラと盛り上がりながら、みんなでコウヘイくんに「いただきます」をしてお団子を受け取る。
私とアンナは桜の木の前にあるベンチに座ると、川を眺めながらお団子を頬張った。
「あぁ…なんか幸せ」
私がつぶやくと、
「それは私といるから?それとも?(笑)」
とあんなが笑う。
「アンナといるからだよ(笑)」
「ねぇ、なんでちょっと笑ってるの?!ほんとに思ってる?!」
私たちが騒いでいると、「2人は本当に仲がいいね(笑)」と平野がやって来る。
隣には瀬川くんも一緒だ。
「そうだ、あの2人が来ないうちに写真撮ろう!」
と言ってアンナは携帯を取り出すと、4人が入るよう角度を調整して1枚、ぱしゃりと撮った。