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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第28章 花より団子



「2人でも撮ってあげる!ほら!並んで」


「え、いいよぉ~そんな。ちょっと(笑)」


「いいからいいから、早くほら、コウヘイくんたち来ちゃうから!」



すると瀬川くんは私の隣に座る。目が合うと彼がにこりと微笑むから、写真を撮ってもらうことにした。




「はい、撮るよぉ~~~!」


…その一瞬だけ、瀬川くんは私の肩に腕を回して少し引き寄せた。



パシャ、と鳴るとすぐに離したけれど、アンナは「いひひ~!やるねぇ瀬川くん」とニヤニヤしながら、


「ちょっとあの2人の写真も撮ってくるわ!バラ組のみんな…食いつくぞぉ~(笑)」

と言ってコウヘイくんたちのもとへ駆け寄っていった。






「…おっと、お邪魔かな?」
平野が言う。


「そんなことないよ!」
私が答えると、


「いいなぁ~。俺も彼女連れてきたかったわ(笑)」
と、せつなく笑う。



「どのくらい付き合ってるの?」


「んー…2年ちょいかな。月に2~3回は会えるけど、俺意外と寂しがりやなのよ(笑)一緒にいてくれる同級生に感謝だわぁ~」




平野は食べ終わった団子のゴミを回収すると、

「ごゆっくりね。コウヘイがすぐ来ちゃいそうだけど(笑)」

と言って背を向け歩き出す。




お団子屋さんの前ではキャピキャピはしゃいでいる綾香ちゃんと、乗り気じゃなさそうなコウヘイくんにアンナがカメラを向けている。





ひゅぅぅっ…と優しく長い風が吹く。


「いい風だ(笑)」


「うん。春だね」


私たちは少しだけ見つめ合った。




「良い匂いする。」


風に揺れる髪を一瞬だけ触られると、私は耳まで熱くなってしまう。




「平野、中学の頃はあんまり話さなかったけど。なんか…すごいイイ奴だね。」


「あいつはね、昔からイイ奴。お人好しっていうか…。まぁ、だからこうやって幹事とかしてるんだろうけど」


「ありがたいね。こうして瀬川くんと会えたのも平野のおかげ…だよね。」



「だな。…昔、足首傷めて剣道の大会出れなくなったときもあいつがコーラで慰めてくれたっけ。」


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