不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第29章 睨み合い
「え?あっ、うんうん。…むしろ綾香ちゃんとコウヘイくんって結構お似合いだと思うよ。」
「えぇ~、そうかなぁ?中学生のときミライちゃん、コウヘイくんのこと好きだったって聞いたから…ちょっと不安だったんだ!」
私たちよりも長く湯船に使っている彼女たち3人の頬が赤くなっている。
「綾香ちゃん大丈夫!ミライは今、せがゎ…」
「アンナ?」
「おっと。何でもないデス…」
綾香ちゃんは一瞬キョトンとし、「待ってるね~!」と3人は先に上がっていった。
「アンナ、みんなの前では言わないでよ~?」
「ごめんごめん、女子トークについ…ね!そうだ、露天風呂いこう!」
私たちは露天風呂を堪能し、身体が火照ってきたところで温泉を後にした。
「ミライ~!帯結んで~」
「あぁ、うん。こっち来て」
おばあちゃんが日本舞踊の先生だという事もあり、バラ組の旅行でも帯を結ぶのは私の担当だった。
「ただ縛るだけでも良いけどさ、やっぱちゃんとかっこよく結んでもらうとテンション上がる♪」
アンナは嬉しそうだ。
2人してドライヤーをかけるが、「ダメだ!…熱いっ」と早々に投げ出す。
半乾きの髪のまま部屋に向かい、窓を開けて夕方の風を浴びる。
「髪の毛結ぼうかな?ミライ、やってくれるぅ?」
「今日はやけに甘えるね(笑)いいよ。こっち座って」
明るく染められたアンナの髪にクシを通したとき、部屋の扉がコンコンとノックされた。
「誰だろう?はーい!どうぞ~?」
ゆっくりと扉が開くと、平野が立っている。
「大丈夫?入るよー?」
「どうぞどうぞ」
平野が部屋に入り、私がアンナの髪をお団子ヘアーに仕上げていく姿を確認する。
「お取り込み中ごめんね。今夜の宴会でビンゴ大会をしようと思ってるんだけど、よかったら2人で仕切ってくれないかな?やっぱ女の子のほうが盛り上がると思って。」
「おもしろそう~!でも私もビンゴしたいなぁ」
アンナが声を上げる。
「もちろん、2人ともビンゴに参加してもらいながらだよ!2人が番号読み上げてボードに書いてってくれたら、俺景品渡してくから…いいかな?」
「OK!」
私たちは快く頷いた。