不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第30章 宴
それぞれの飲み物が運ばれると、
「はい!全員集まった…かな?それじゃ!改めて乾杯の音頭を…じゃあ、綾香ちゃんに頼もうかな?」
と平野が壇上で言う。
「えっ?私~?えへへ、恥ずかしいな」
綾香ちゃんが立ち上がる。
「えっと……今日はこうして集まれて、とっても嬉しいです♪朝まで飲んじゃいましょーっ!カンパーイ!!」
どやどやと歓声が上がり、全員で乾杯をする。
私はアンナとグラスをぶつけると、ビールをグビッと飲み込んだ。
仲居さんたちが次々に運んできてくれるお料理はどれも美味しく、ついついお酒も進む。
「んん~!これも美味しい~!」
アンナもこの場をしっかりと堪能しているようで私も嬉しくなる。
2列に別れている座席の中央には豪華な舟盛りが置かれ、マグロの頭のまわりにはすごい量のお刺身が乗っている。
「ねぇ、すごい豪華じゃない?私たち本当に3,000円でいいのかなぁ」
「ほんと、すごいね?!男子たちいくら払ってるんだろう~(笑)まぁ今日はラッキーということで、食って飲んで遊ぶぞぉ!」
そう言うとアンナはお刺身を取りに席を立つ。
「あぁ、お腹いっぱぁ~い」
隣で綾香ちゃんが可愛くつぶやく。
「綾香ちゃん、食べる量まで可愛いんだね(笑)」
「やだ~ミライちゃんってば~!」
そう言いながらも綾香ちゃんはチラチラとコウヘイくんの方を気にしている。
「ミライちゃん…」
「んー?」
「私とコウヘイくんの事、応援してくれる?」
「…もちろん。」
「本当にコウヘイくんのこと…なんとも思ってないの?」
「強いて言えば弟みたいな感じかな(笑)」
「アハハ!ミライちゃんはみんなのお姉さんみたいだもんね。じゃあさ、どんな人がタイプなの?」
「うーん…タイプかぁ」
「この中だったら!」
綾香ちゃんは目をキラキラさせて私に尋ねる。
「えぇ~、この中?!(笑)」
期待に潤む目で私の返事を待つ彼女は、恋バナが大好きだと顔に書いてあるようだった。
「えっとね…」
私はまわりを見渡す素振りを見せた後、「瀬川くんかな?」と答える。
「あぁ~♪2人、仲良いもんね♪そんな気がしてたよぉ。」