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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第30章 宴



結局私はビンゴが取れなかったが、瀬川くんにはウイスキーボンボンが当たった。



「景品はここまでで~す!ビンゴにならなかった人は可哀想なので、このあと射的の景品でもあげてください(笑)」


平野が言うと、「行こうぜ!」「俺めっちゃうまいから」と声が上がり皆で外へ出る事になった。




旅館が用意してくれた下駄を履き外へ出ると、昼間よりも少し冷たい風が頬を流れる。


アンナと写真を撮り合ったり、肩を組んでふざけたり、他のみんなもずいぶんと楽しそうに歩く。


いつでも近くにコウヘイくんと綾香ちゃんがいて、事あるごとにコウヘイくんは私の目を見て話しかける。


「俺マジで、射的ぜんぶ当てちゃうもんね!そしたらミライちゃんにあげるからね!」


「えぇ~!コウヘイくん、私はぁ~??」

綾香ちゃんが甘える。




「モテる女もつらいねぇ~ミライ!」
とアンナがふざけると、


「でもミライちゃんは、瀬川くんみたいな人がタイプなんだもんねっ♪?」


綾香ちゃんのその言葉にコウヘイくんが一瞬黙る。


「…あ、綾香ちゃんが、このメンバーの中でって言うから(笑)」

とごまかす。




「えっ?俺、脈なし?!ミライちゃ~ん、瀬川なんてやめときな?あいつ冷酷だし!!」


コウヘイくんは元通りのテンションに戻っている。





「……誰が冷酷って?」


後ろを振り返ると、ニヤニヤ笑う平野の隣に瀬川くんが立っていた。




「だってお前すっげえ冷たいじゃん!コンドームとチョコ交換してくれなかったし!」

コウヘイくんが言うと、アンナがケラケラと笑う。



「お前そんなことで冷酷とまで言うか?(笑)」




カランコロンと下駄を鳴らし、和やかなムードで私たちは再び歩き出した。





レトロな射的場に到着すると、先に着いていた仲間たちが早くも遊んでいた。


景品はお菓子やぬいぐるみがほとんどだが、絶対に倒れないような大きな箱に入ったおもちゃもある。



早速コウヘイくんは意気込んで射的を始め、私たちは後ろから見物しながら談笑する。




「瀬川くん、やらないの?」


そっと話しかけると、「お前どれがいい?」と言うので私は景品に目をやる。



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