不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第32章 テキーラ
とろりと滴る体液をティッシュで拭き取ってくれると隣に寝転び、ほおずえをついて私の顔を見つめる。
愛おしそうに私の頬を撫でると、ゆっくりと話し始めた。
「はぁ…。俺、自分がこんな感情持てるなんて知らなかったわ」
「…どんな?」
「んー…。お前の笑顔も悲しそうな顔も、やらしい顔も、他の誰にも見せたくない…とか」
「そんなこと思ってたの?ふふっ…なんだか嬉しい」
「笑い事じゃねえよ、俺めちゃくちゃ困惑してんだからな(笑)」
「さっき言ってくれたの…って。ホント?それともえっちのときは、好き、ってこと?」
私はいたずらな質問をする。
「なんだそれ。お前、俺がセックスできるからお前にくっついてると思ってんの?」
「あはは(笑)そうじゃないけど…、そうだったらちょっと切ないなって」
彼は私を少しぶっきらぼうに抱き寄せる。
「お前ね…頼むからそんなこと言わないで。今はまだなにも片付けられてないけど…今だけ勝手なこと言っていい?」
「…うん…?」
「お前のこと大事にしたい。俺のこの気持ちも。……好きだよ。どうしようもないくらいに」
肌と肌が重なって、あたたかい。
「私も…瀬川くんが好き。離れたくないよ…」
「ん…」
私たちは裸でしばらく抱き合って、それから適当に浴衣を着直し、大浴場へと向かった。
時計は22時を少し過ぎたところだけれど、チェックアウトまでは自由にお風呂に入り放題と聞いていた。
その説明通り、浴場へ出入りする客の姿がちらほらある。
「じゃ、出たらこのへんにいるから」
「うん、分かった!」
マッサージ機や自販機のある一角で待ち合わせをして、私たちはそれぞれ入浴をしに向かった。
さっきまで瀬川くんにたっぷりと愛撫された私の秘部は、まだかすかに痺れていた。
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火照った身体で大浴場を後にすると、瀬川くんは既にマッサージ機に座っている。
「お待たせ。私、遅かった?」
「いや、今出たとこ。なんか飲む?」
私たちは自販機の前に立つ。
「そういえば、ビンゴで当たったチョコ食おうぜ(笑)お前チョコ好きだよな?」
「好き!じゃあ、もう少しだけ飲んじゃう?」
「うん。明日チェックアウト昼だって言うし、まだいけるな」