テキストサイズ

不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第32章 テキーラ



「まずはやっぱり古今東西っしょ!」

という平野の一言でゲームが始まった。



酔っ払っていると滑舌も悪くなり言葉もすんなり出てこなくなるもので、最初はアンナが負けを極めていたが、女子のほうが得意なお題になると途端に男子たちが負け始める。



「うあー、喉に来る…!」瀬川くんが唸る。



「ちょっとペース早い…!そろそろゲーム変えよう(笑)」

そう言うと平野はトランプを出してきて、おぼつかない手でみんなに配る。



「ねぇ、ちょっとぉ~!1枚多い!!」

ギャーギャー言いながらもババ抜きが始まると、私が3連続で負けた。


テキーラを一息に飲み干すと、コウヘイくんたちが手を叩いて騒ぐ。



喉がカッと熱くなり、「うぅ~っ!」と後ろに倒れると瀬川くんが大きな胸板で受け止め、「大丈夫か?」とそっと声をかけてくれる。


「うん…」おでこがポワポワと熱を持ち、視点が定まらない。



みんなの目を気にすることも出来ず、しばらくそうして瀬川くんにもたれかかっていると、

「ちょっとミライちゃん、俺の方にも来てよぉ~!」

とコウヘイくんが駄々をこねる。



「ちょっと、待って~(笑)ほんとに酔う、これ(笑)」


私が答えると、

「じゃあ、一旦トランプ中断!なにする?!」

ワクワクした様子で平野が持ちかける。




時計が深夜0時を指し、ぽつぽつと力尽きる者が出てきた。




「ぜっったい王様ゲーム!絶対!」

コウヘイくんが酔っ払った顔で言うと、「やだ~、コウヘイくんったら!」と綾香ちゃんが照れている。



「え~、チューとか無しにしてよ?!勘弁だから~っ(笑)」

アンナが笑い、「じゃあソフトに楽しくね!」と言って平野は割り箸でくじ引きを手際よく作る。




最初の王様は平野だった。

「じゃあ…1発目なんで、1番がテキーラね!」


「えぇ~!私~!?」と綾香ちゃんが少し嬉しそうにも見える表情でおちょこを手にした。



くいっと飲み干すと、声にならない声で唸り、喉を押さえながら顔をしかめてコウヘイくんにもたれかかる。




何度かテキーラの罰ゲームが続いた後、アンナが王様になり

「4番と6番がチュウ~!!ぎゃははは!」と笑う。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ